ボイスドラマの脚本術@「それ一体誰のセリフですか」

2018/08/28

について語ろうとしたところで、まず断っておきたいのだけれど、私自身、脚本はおろかシナリオ、小説に至るまでまともな指南を受けた覚えはない

 

小学四年生の頃、授業で行った「リレー小説(4人で起承転結を担当し、順番に物がっていく)」が面白くて自宅に帰った後も父親のパソコンを借り受け、小説を書き始めたのがものの始まり。

 

そこからはネット黎明期だったこともあり、個人サイトで毎週更新のライトノベル(のようなもの)を永遠と更新する日々を中学生の頃まで送っていた。

 

舞台の脚本は芝居の勉強をするうえで書く必要があり、手を出しただけだし、「オーディオドラマ」についてもその延長線上でしかない

 

ただ、シナリオの講師の方に教わる機会があった時には「そこまで分かっているならもう教わるよりも書き続ける段階」だと言われたし、それなりに「シナリオの書き方」について書かれた本は読んできたつもりでもある。そして、独学ではあるけれど、10年近くオーディオドラマを作り続けてきた。

 

なので、ここから綴られるものというのはそういったノウハウからくる「見当違いな脚本術」であるので、正直百害あって一利なしレベルの時間の無駄で済むどころか人生の無駄であることを先に謝っておきたい。

 

 

しょうじきいって すまんの。

 

 

 

 

 

さて、今回書くべきことは「お話の書き方」ではなく「ボイスドラマ(オーディオドラマ)など音媒体の作品で使用する脚本(シナリオ)の書き方」である。

(ここまで言って引き返さないのであるからあとは自己責任です。あとでSAN値チェックをお忘れなく)

 

 

なので、「起承転結」はそもそも4コマ漫画の技法であって、本来お話をつくるのであれば序破急ーー、いな、これは歌舞伎の技法なのでハリウッド式、問題を抱える主人子がアクシデントに巻き込まれ二度の失敗のうちに自身の問題とアクシデントの大本に打ち勝つ方式、などという話はするつもりはない

 

 

というか、それについて話すと滅茶苦茶長くなる。ていうか、「んなの探せば転がってる」。第一、作家でもない自分がそれについて偉そうに語るなんておこがましい。

 

 

 

いやいや、オーディオドラマを作ってきた経験があるだけで、そんな大ヒットを飛ばしているわけでもないですし、おまえナニサマダヨ

 

 

↑書くのやめていいかしら。

 

 

 

 

 

なんて茶番はさておき。

 

 

 

 

 

 

音媒体の作品である以上、まず心得ていただきたいのは「誰が何を言っているのか分からないと本当に意味が分からない」

 

それこそ開幕1分で聞くのをあきらめるレベルで酷いことになる

 

 

なので、今回はその点にフォーカスを絞ってみようと思う。

(情景描写のやり方とかモノローグの使い方は今回取り上げませぬ)

 

 

例えばこんな感じ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「おはよー」

「おはよ」

「元気にしてた?」

「ああ、うん……それがさ……」

「うん……」

「えーっ? なになに、どーしたの!」

「それがね……?」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

これが小説であれば

 

「おはよー」そう言って佐山は教室へと入ってきた。「おはよ」一番近くに座っていた田辺は静かに返す。なんだか二人とも元気がない。「元気にしてた?」私は駆け寄るとわざとらしく明るめに話しかけ、彼の反応を見る。

「ああ、うん……それがさ……」「うん……」彼はどうにも歯切れが悪い。「えーっ? なになに、どーしたの!」遠くでそんな様子をうかがっていたらしい西岡が首を出す。彼と田辺は目を見合わせ、「それがね……?」おもむろにくちをひらいたーー。

 

 

だなんて地の分で説明できるのだけど、ボイドラだとそれが出来ない。

 

 

「いやいや、声色と芝居でどうにでもなるじゃない」

 

 

その意見はごもっとも。第一、脚本にはキャラクター名や効果音、芝居の指定が書かれている。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

  環境音 朝の教室

 

佐山「おはよー」

 

  SE スライドドア、開く

  SE 入ってくる足音

 

田辺「おはよ」※少し元気がない

 

  SE 駆け寄る足音

 

私「元気にしてた?」

 

  沈黙。二人は目を見合わせている。

 

佐山「ああ、うん……それがさ……」※歯切れが悪い

田辺「うん……」

 

  SE 駆け寄ってくる足音

 

西岡「えーっ? なになに、どーしたの!」

田辺「それがね……?」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

とかいう風に。

 

 

 

だけど、ここで大事なのは「そんなもの、リスナーは聞き逃すかもしれないし、聞き分けられないかもしれない」ということ。

 

 

人は思ったよりも人の声を聴き分けることが難しい。それこそ人の声色なんて表情によって高くなったり低くなったりするし、それを「開始早々誰が誰なのか聞き分けろ」だなんて無理ゲーだ。

 

 

少なくとも私は出来ない。ていうか、しんどいからしたくない

 

 

そしてどれだけキャストに自信があるとしても、書き手として最低限フォローは入れるべきだと私は考えている。

 

 

 

 

最初から「この声はこの人物である」という前提条件が整っていないのであれば「まず開幕シーンはどの声が、どういう人物で、なんという名前なのか」をリスナーに認識してもらうことに終始した方が良いと思う。

 

 

そして1シーンに新しい人物は3人までだと思っている。

 

 

4人目を出すとしてもそれはあくまでも「サブキャラ」という位置づけであまり出しゃばらせない方が聞き手が混乱しない。

 

だとしても、一気にキャラクターを出さなくてはいけない場面というものには必ず出くわす。

そういう時は「強烈な個性で色付けする」と良い。

 

 

とはいってもキャストの声色で変化をつけるということではない。例えば

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「おはよー」

「おはよ」

「元気にしてた?」

「ああ、うん……それがさ……」

「えーっ? なになに、どーしたの!」

「それがね……?」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

と声質が多種多様であれば対応できないこともない。が、しかし、色の数に限度があるようにどうしても声色も似通ってくる。

 

 

もしここにこの声色の人とかこんな声色の人、そしてこんな声色の人が増えた場合この人この人この人とこの人の区別がつかなくなってくる。この人とこの人は何とななるかもしれないけれど、この人がテンションが上がる芝居をしたときにこうなったらもう分からない。

 

 

せっかくにいいお芝居が「誰が言っているのか分からない」じゃ無駄になってしまう

 

 

まぁ、極論なのでそう噛みつかないでくださいな。あくまで注意しなくちゃいけないことの一つ、だと思って聞いてください。

 

 

 

で、どうしたらいいか。

 

 

 

こんなこと当たり前すぎて書くのも恥ずかしいんですが、「全員黒字でも読み分けできるぐらいに差別化する」。

 

物書きの腕の見せ所といいますか、出来る限り自然なレベルで、不自然にならないように、キャラクターの言葉遣いを弄ってあげる。(キャラクター性をつける)

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「おざーっす……」

「……おはようございます」

「おッはよーっ! 元気してたっ?」

「ああ、うん……それがさぁ……」

「えーっ? なんやなんや。どないしたん!」

「それが……さ……」

 

(あー、これ例文みすったわー、わかりづらいわーせっとくりょくないわー)

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

とまぁ、敬語キャラだったり寡黙キャラだったり、なんだったら帰国子女テイストだったり語尾が「なになにネー!」て似非チャイナだったり。独特な言葉遣いをさせたりと手は幾らでもある。

 

 

え? 自分は「そんな不自然なキャラ設定で書きたくありません」ですって?

 

 

ごもっとも。少なくとも「ゼンブ カタカナデシャヴェル ヤヴァイヤツ」とか

「自分とかのと言い換えるような痛いやつ」多用すると聞いててしんどいし、実写調の、リアルに寄せた作風だとリアリティがなくなってしまう。

 

 

そんな場合は1シーンあたりのキャラクターの登場数を絞って、「誰がどんな人なのか、どんなセリフをいうような人なのか」リスナーが認識できるように登場シーンは終始するとよい。

 

 

話し方が同じようなもの同士でも「ものの考え方」や「とらえ方」の違いからセリフの違いは生まれ、少なくとも混乱は避けられるだろう。

 

 

そしてついでに(ちょっと今回の主題とはズレますが)「セリフ中に相手が誰なのか織り込んでやると「こいつは~~で」っていう自己紹介を省けたりするし、リスナーに向けて誰が誰なのか、少しずつ浸透させることができる。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「おざーっす……」

「……おはようございます、佐山君」

「おッはよーっ! 元気してたっ?」

「ああ、うん……それがさぁ……、なぁ、田辺……?」

「うん……」

「えーっ? なんやなんや。佐山も田辺も、どないしたん!」

「西岡ーー……。それが……さ……」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

みたいな感じです。

 

かなり雑ですが、最初よりかはわかりやすくなっている(ハズ)。

 

 

 

 

 

とまぁ、なかなかに極論の極みを押さえたようなお話でしたが如何でしたでしょうか。

 

 

 

 

小説を一度でも書いたことがあれば会話文で「誰が何を言っているのか分からない」を経験し、地の分で説明し、それがくどすぎると感じた先に「セリフの差別化」を図ろうとするものですが、それすらも経験したことがない物書き初心者が陥りやすいミス(しかも致命的な)なのでご紹介いたしました。

 

 

音媒体であることで生まれる「状況説明を織り交ぜたセリフづくり」や「自然に誰に対して言っているセリフなのかを織り込む」なんてテクニックもありますが随分長くなってしまっておりますのでそれはまた今度。

 

 

反響があれば書いてみましょう

 

 

 

でわ。

Share on Facebook
Share on Twitter
Please reload

特集記事

Studio Color Taste

August 30, 2016

1/1
Please reload

最新記事